大切で大切で大切で、安易に触れることなんて出来やしないのに。
この先何人の汚れた手で汚されるのかと思うと、耐えられない。

13:触れられない藤


布団の上に向かい合って、二人座る。
佐助は胡坐をかき、は正座を崩して座り下へ俯く。
ポリポリと頭をかいてどうしたもんかと佐助は溜息を吐いた。
「…あのさぁ、そんな硬くならないでくれる?」
「だ、大丈夫…!」
「どこが」
間髪居れず否定され、は頭が上がらなかった。反論も、できなかった。
否。
緊張するなと言う方が無理な話だ。

純粋に、そう、純粋に、決して佐助の欲などではなく、二人は床のつまりそういう行為を、行おうとしていた。
くノ一ならばいつかは通る道で、もいつかはと覚悟は決めていたつもりだったがいざとなると決心がつかず、と言うより、恥ずかしく。
仕事によってはそんな感情は邪魔なだけだが、正直言って佐助は羞恥心を捨てきったなど見たくはないので無理に捨てきれとは言わないが。

これでは、先に進めないではないか。

佐助は再度はぁ…と深く溜息を吐き、今度はがしがしと派手に頭をかいた。
「いっそひと思いに…!」
「…それじゃあ俺がを犯すみたいじゃないの」
どんな形であれ覚悟は決まったようだ。
決まったと言うより、決まったことにした、という方が正しいような気もするが。

「じゃ、早速」
佐助の手がの頬を捕らえ素早く口付ける。
柔らかな唇に、乾いて少し荒れたそれが重なり佐助の舌先がの唇をちろりと舐めたが、
は、と酸素を求めては唇を離し口を開いた。
「次、舌入れるから。最初は逃げてもいいけど絡めだしたらちゃんと答えて」
「…が、頑張る」
の背中へ手をまわし佐助はを腰から引き寄せる。
「手は首へまわして」
しっかりとの腰を抱き開いた手で佐助はの手を自らの首へ誘導した。
閨の戦術としては基本中の基本である。
「相手の目を見る」
目を臥せっていたへ佐助はできるだけ優しく諭した。
そして飲み込むような接吻を。
差し込まれた肉厚の舌が歯列や歯の裏をなぞる。一瞬二つの舌が触れ合うとは反射的に舌を引っ込めたが、それを追い立てるように佐助は押し進める。
生温かいそれが、絡まり始める。
するとはたどたどしくも自ら返しかけた。
技術的にはまだ当然未熟だが一生懸命なその姿には好感が持てる。
一度唇を離すと、佐助は再度軽く唇を触れさせた。
赤面させ涙目で力なくクテンと寄りかかるを見、佐助はふっと笑った。
「真っ赤になっちゃって可愛いねぇ。接吻だけでもイけるんじゃない?」
そっと首に回された手を取り、によく見えるようにしてその指を口元へ運び、唇で押し付け舌先を出し表面をくすぐる。
途端、の身体に電流が走ったような感覚が流れた。
吃驚しては手を引っ張るが握っている佐助の手がそれを許さない。
ペロリと舐めあげられ、は「ひゃあ」と小さく悲鳴をあげた。
「ふぅん、指ねぇ…。そろそろ、」
佐助は、へ下半身を押し付ける。

「本格的に実習いかせてもらおうか」

そう言うが早いか、を布団の上へ勢いよく押し倒しその上へ馬乗りになった。
背を強かに打ちは眉を若干歪ませる。
が、佐助はおかまいなしにさっさと腰紐を解き胸合わせへ手をかけ、左右へ引いた。
「―――っ」
衣で隠されていた素肌が急に外気に触れ、その冷たさと露にされた姿ゆえの羞恥心に、は腕で身体を覆おうとしたがまたしてもそれは佐助に阻まれる。
「隠しちゃだめ。恥じるのはいいけど、もっと受け入れる感じで」
は目を伏せ、ぎゅっと布団を掴む。心なしかその身体は震え。
「そ。できたらそのときにでも暗器―――長針とかは布団の下にでも隠すといい」
佐助はの黒髪を一房掴み口付ける。
白く滑らかな肢体を眺め、愛おしそうな表情をした。
「綺麗だよ」

―――今すぐ壊したいほどに。

その言葉は、口には出さなかったけれど。

豊かな胸へ唇を寄せ肌を吸った。
その場所には、赤く鬱血痕が残っている。まるでナニかの印のように。
大抵痕をつけたくノ一はその痕が完全に消えるまで閨の仕事へは回されない。
今つけたソレが一生消えぬものならいいのにと、佐助は柄にもなくそう思った。

胸へをのばし外気の冷たさの所為か既に立ち上がっている突起を指の腹で押す。
心臓が、跳ねた。
実際に跳ねたわけでは勿論ないから、がそう感じただけのことだったが。
ともかくにとってはそれ程の刺激が全身を走った。
「…説明しながらって結構萎えんの。悪いけど、後でまとめて教えるから

今は俺様だけに感じてろよ。」

ぐりぐりと突起を捏ね繰り回すと面白いくらい声を上げる。
呼吸が浅くなり身体が熱を持ち始めるに、佐助は生殖器のドクンと血が通う感覚をやけにリアルに感じた。
桃色の飾りを口に含み、吸ったり舐めたり甘噛したりを繰り返す。
片方は口内で、もう片方は指で。
それぞれ愛撫され弄られ与えられる初めての刺激と快楽に、は頭がおかしくなりそうだと思う。
「さ、さすっ、佐助ぇ!なん、何か身体っ、変な感…っ」
は水揚げされた魚のように身体をガクガク震わせ。
涙を流し許しを請うような瞳で佐助を見つめる。

(…ま、痛いのは最初だけだしねぇ)

この後の破瓜に伴う痛みを思い。
佐助はご愁傷様、と心の中で呟いた。



本番前に強制終了。可愛い雰囲気を目指して玉砕。
その後彼女の経験はほぼ伊達殿オンリに奪われ使われます。