「月ー!ちゃんが来てくれたわよー!!」
「あ、おかまいなく。自分で行きますから」


何がどうなってこうなったのか


勝手に来るなよ、と内心月はツッコミながら、ドアが開かれるのを待った。
…が、一向に入ってくる気配は無い。
それどころか、階段を上がってくる音さえもしない。

「なんだ?彼女か?」

死神のリュークが興味ありげに聞いてくる。

「ただの幼馴染だよ。なんだ、興味あるのか?リューク」
「ああ、月が簡単に部屋にいれる女だからな」

リュークはデスノートの置いてある部屋に…という意味合いをこめて言った。

「いくらアイツでもデスノートは見つけられないさ。絶対に」
「凄い自信だな、月」
「当たり前じゃないか。説明してやっただろ?ああいう取り出し方をしない限りデスノートは見つからない」
「…まあそりゃそうだけど……」
「いくら彼女の頭が良くても、これだけは絶対にみつからないさ」

学科は違えど自分と同じように東大を目指す。
合格も確定、と言われているにもデスノートは確かに見つけられないだろう。

「それより遅いんじゃないのか?もう帰ったりして」
「だったらいいんだけどね…」
「誰が帰ったらいいのかな?」
「決まってるだろ、…」
「さっき自分で行くって言っといて帰る訳がないじゃないか」
「…お前どこから入ってきてるんだ!?

いきなり会話に加わったに吃驚し月は振り返ると、靴を手に持って窓枠に座るの姿が目に入った。
そしてよっこいしょっと、と窓から何事もなかったかのように部屋へと侵入してくる。

「なんてところから入ってくるんだ!!」
「なんてって、窓と言う名のところからに決まってるじゃないか。勉強疲れでボケたのかい?月」
「が常識からズレたことをするからだ」
「冷たいね月…。昔からこうだったような気もするけど。むしろ変わってないけど」
「も少しは変わったらどうだい?」
「私が今更変わったらクリキントン大統領もビックリだよ」
誰だよそれ…
「で、私の方から質問していいかい月?そこの口裂け男的な愛嬌がないとも言えなくない彼はお友達?」
…!?

月はの口から発せられた言葉に目を見開いて固まった。

「…お前、俺の姿が見えるのか…?」
「バッチリだよ。君は一体なんなんだい?」
「死神のリュークだ」
「そう。宜しくリューク」

死神だと言うのに、はいつもどおりの笑みを貼り付けたままベッドに座り込んだ。
かと思うと、ベッドの下をごそごそと探り出す。

「ああ、やっぱりないねエロ本。今日も収穫なしか…つまらないな」
「…、もしかして…黒いノートに触ったのか?」
「いや?君のサイフに入っていた紙切れなら拝借したがね」

こうなってしまった以上、へ総てを明かすしかないだろう。
そう思い、月は机からデスノートを取り出してに渡す。

「まさか世の中を騒がせているキラ様が幼馴染だったとはね。面白い展開だよ」

こんなときでも『面白い』『楽しい』で全てを考えられるが、少し月は羨ましく思えた。


いきなりデスノです。月夢。
ちなみには月と同じ塾に通っていて席も隣で、全国共通模試は2位という強者です。
彼女が目指すは医学部。薬学関係が大得意なのです。
街角の薬局すらそこは彼女にとっては武器庫と化します。爆弾でもなんでも作っちゃいます。
余談ですが、月とは生まれた病院も一緒というどうでもいい設定まであります。