※訳合って名前変換無しのデフォルト名となっております


「ハンカチおちたよ、ヤガミクン」

はい、と月へ手渡すのは向かいの家に住む同い年の少女だった。
幼稚園児らしからぬ手つきでハンカチを差し出す少女。

「ありがとうヤクモさん」

にこっと愛想笑いをして月は少女からハンカチを受け取る。
思えば、向かいの家に住んでいて幼稚園も同じなのに言葉を交わすのはお互いこれが初めてだ。

「よく字がよめたね」

ハンカチのすみに施された“夜神月”の刺繍を見、月は少女へ会話をつなぐ。

「毎日みてきいてたら、いやでも覚えるからね。下のなまえはツキクン?」
「ちがうよ。これ、ライトってよむんだ」
「…月ってライトってよむっけ?」
「よまないよ、たぶん。ヤクモさんは?」
「ジンだよ。『仁義礼智信』の仁」
「…儒教?天皇や皇族の通字としてつかわれるよね」
「くわしいね、ツキクン」
「ライトだよ。その…かわってるね。女の子でジンって」
「わたし男にうまれててもジンだったんだと。2つかんがえるのがめんどうだったんだそうな」

ケラケラと笑う仁につられて月も笑う。

「わたしたちうまれた病院もいっしょなんだって。知ってた?」
「ああ。母からきいたよ」

「よろしく、ジン」

すっと手を出す月に、仁は一瞬考えて、

「こちらこそ。ライト」

右手を握った。


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